タダでさえテンション&ボルテージの上がる時期に。 

一年でいちばん幸せや生きがいを五感で感じる時期になって早1か月が経過しました。それでもまだ翌日も夏が続くという安ど感に揺蕩うように、仕事から帰宅後にゆっくり飲むアイスラテはおいしさもひとしおです。日々の癒しのお供であるこのアイスラテを片手に、先日の鎌倉花火大会のことを思い出しています。

なくなってほしくない、切なくも美しい日本文化。それが花火大会です。一瞬にもかかわらず、むしろ、だからこそとも云えそうなその一瞬の美しさを見ることを求めて、今年も人が会場に押し寄せました。私もそのうちの一人です。

開始数時間前から、花火の開催地である海岸に人がうねりのように集まること集まること。開始1時間前にはもうその場全体のボルテージやテンションが上がってくるのがひしひしと分かり、ついさっき以上に増えた人の多さも手伝って会場全体が「これから花火が始まる感」でざわつき始めました。

夜の帳が夏にしかない時の流れ方をしながら降りてきて、夏祭りならではの屋台の灯りがぼんやりと幻想的になるころ、いよいよ花火大会秒読みという雰囲気が盛り上がってきました。これぞ夏です。

ただでさえ夏・・・ただでさえナチュラルにテンションが上がるこの時期に、この雰囲気こそ日本の夏文化そのものですね。屋台の出店も花火も、なくなってほしくない日本文化には違いありません。

そんな雰囲気の中、今年も職人さんたちの尺玉に込められた魂と労苦が夏の夜空に大炸裂しました。が、残念なことに今年は曇りが災いし、せっかくの職人さんの魂がはっきりと満足に見られないまま終わることに・・・。

開始直後から打ち上げ花火は雲に隠され、たまたま雲のないところに咲いた大輪を5割方見られればましな方、といったところでしょうか。この残念な状況に、開始早々「だめだこりゃ」と思った人は多かった様子です。私の目の前で鑑賞していた家族連れも込みで、周りの人たちがこぞってぱたぱたとレジャーシートを畳み始め、お帰りモードに。

私は最後まで残って見ました。運がいい瞬間だけ一応5割ぐらいはどうにか花火が見られたものの、やっぱりフィナーレの大炸裂は大半が雲に隠され、残念な結果となりました。これじゃあ丹精込めて花火を創った職人さんたちの労苦も報われないでしょうに、ここまで雲に隠れる悪条件の花火もそうそうないことでしょう。そんな花火大会でした。

花火が残念な形で終わり、お帰りの頃にはみんな口々に「あーあ」「今年はひどいもんだなあ」と、同じようなことを言っていた感じです。天候的な条件ばかりは人の力でコントロールしようがありません。皆さんそれゆえの残念なつぶやきだったとも言えそうです。

会場を後にする前、風でひらひら飛んできた、空で炸裂した尺玉の欠片を思わず拾い上げるとちょっとせつない気持ちになりました。この尺玉に、毎年、この瞬間のために花火職人さんたちが丹精込めて創る大輪と苦労。伝えるもっとも美しい日本文化。それを愛し表現しようとする魂。

思わず子どものように拾い上げた尺玉の欠片は、火薬の匂いがしました。これこそが、私の大好きな日本の夏の匂いです。せつなさの反面、このような儚くも美しく、逞しい生命力に満ちた大輪を包む欠片に直接触れることができたことが嬉しく、感動的でもありました。来年の同じ時期の同じ花火大会は、すべてが報われますように。ありがとう、花火職人さんたち。